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- ハックルさんの15年前の記事が今頃再発掘されてしまう
- それでも、この時は個人ブログだったし、今よりずっと緩い雰囲気だったし、「物語」だからいいじゃん、で済んでいた
- ハックルさんがいい加減なことを言うことで正しい情報が集まってくるのは当時もそうだった。
- でも、誰一人としてハックルさんのことを止めることなどできなかった。
- 「ネット評論家」というのはしょせんこの程度だ。だからこそ余計な評論や物語性を入れない「歴史」が必要となる
- おまけ1:ハックルさんの「ゲームの歴史」と塩野七生のローマ人の物語の違いについて
- おまけ2:ちきりんさんとハックルさん
- おまけ3 過去に書いた記事
ハックルさんの15年前の記事が今頃再発掘されてしまう
私はこの記事読んだことなかったです。なるほど確かに「ゲームの歴史」の片鱗を感じさせる…。
書籍『ゲームの歴史』。著者の岩崎夏海氏が15年前に自身のblogで公開した記事。宮本茂氏の天才性のみで任天堂の成功を語る手法は、今とまるで変っていない。「SFCの設計担当は宮本氏ではなく開発第二部」などツッコミ所も満載。 https://t.co/3pQrcNCOBm
— loderun (@loderun) 2023年3月26日
任天堂が勝っている理由はただ一点「宮本システム」にしかない - ハックルベリーに会いに行く
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書籍『ゲームの歴史』。ゲーム史と直接関係ないのにジョブズへの言及がやたらと多いのは本当に読んでいてムズムズする。ちなみに著者の岩崎夏海氏は、10数年前に自身のblogで「なぜ ぼくのことをスティーブ・ジョブズのような人間だと思わないの?」と述べている。 https://t.co/0r5YuvLYIW
— loderun (@loderun) 2023年3月26日
ただひとりのジニアス( てんさい )が世界を、次日明日( みらい )を革命してきたのだ、という物語構造好きすぎマンなんだはハックルさんLOL
— XALNOP (@formalin4) 2023年3月26日
だから『ゲームの歴史』の中でも唐突にジョブズの名が飛び出してくるわけ。
自分もそういうジニアスである( でありたい )というコンプレクスが滲み出てるLOL https://t.co/FQXDp3o9hh
それでも、この時は個人ブログだったし、今よりずっと緩い雰囲気だったし、「物語」だからいいじゃん、で済んでいた
id:fenethtool個人的には、これにツッコミを入れる人と塩野七生の小説にツッコミを入れる人は似てる気がする。本来これは物語として読まれるもの。そういう意味で読む方にもリテラシーが問われるけど。
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今から考えると、ハックルさんは良くも悪くもこの時と同じノリで本書いちゃったんだよな……。
ハックルさんがいい加減なことを言うことで正しい情報が集まってくるのは当時もそうだった。
hisakazuhirabayashi.blog95.fc2.com
やっぱりこの当時は、文句があったらはてなブックマークでクソコメント書くんじゃなくて記事書いてトラバでもの申せって感じだったのだろうか。もしそうだとしたらとても良い。*1 もしかしたらただの幻想かもしれないけど、私はこの頃のはてなダイアリーやブックマークの空気をよく知らないから、少なくともこの記事をめぐるやりとりはとてもうらやましいなと思う。
でも、誰一人としてハックルさんのことを止めることなどできなかった。
言いたいことは沢山あるけど、これ全部詳細に書いていったら、本一冊書けるな…。
この時点で誰かがハックルさんの間違いを丁寧に指摘し「お前はわかってるつもりかもしれないが、ただの勘違いの思い上がりだよ」と突きつけていれば…ハックルさんはここまで心の中のモンスターを大きくせずに済んだ可能性が0.0001%くらいはあったかもしれない(無茶言うな)
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そして、この時点でloderun氏はすでに「ゲームの歴史」の著者にツッコミを入れていた。
id:loderunドンキーコングのプログラムを作ったのは池上通信機だってば。
id:kanose氏もこの時点ですでに「歴史修正主義者」」「俗流ゲーム史論」という言葉でハックル氏を論じていた。
kanose.hateblo.jp
ゲーム歴史修正主義という言葉が思い浮かんでしまった。setofuumiさんからは「俗流ゲーム史論」という素敵な言葉が。上の記事は、旧日本軍は悪いことを一切してない!ぐらいの勢いの捏造っぷりで、下の記事は旧日本軍の悪い部分は一切無視して功績のみを語るみたいな感じ。
とはいえ、さすがに15年間ほとんどハックルさんのゲーム史観が進化しなかった上に、挙句出版業界の編集者が仕事をしなくなって「ハックル史観のゲームの歴史が書籍化する」など誰が想像できただろう。*2
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私はハックルさんについて他の人よりはちょっとわかっていたつもりだったけど、本当はハックルさんのことなんて何一つ理解なんてできていなかった。
「ネット評論家」というのはしょせんこの程度だ。だからこそ余計な評論や物語性を入れない「歴史」が必要となる
一人の個人についてさえこれなのだから、ただの人間が任天堂について評論し、その本質を語ったり未来を予測することなど、基本的に無意味だと考えるべきだ。投資で不確実性な未来にベットするのでもないなら、やるだけ無駄である。
ゲーム業界の30年を、カノッサの屈辱風にだれかやってくれないかなぁー。
絶対おもしろいんだけどなー。
わかったようなことを書いてるこの人も、結局WiiUの失敗までは読めたけどNintendoSwitchがそのあと頑張ることは予測できなかった。
「飲食業界コンサルタント」を名乗ってサイゼリヤについて偉そうに上から目線で評論する人間が常にサイゼリヤに敗れるのもそうなのだが、所詮企業を語る評論家というのはその程度なのである。
かつてセブンイレブンの強さを語ってる人だって、日本での成長が行き詰った結果海外に活路を求め、実質ガソリンスタンドが利益の大半を占めて石油価格によって業績が左右されるようになった現在のセブンイレブンの姿は誰も予想できなかっただろう。
ゲームを作ったことがない人間のゲーム評論など、作品単位で済ませる程度が関の山で「ゲームつくりの本質」やら「任天堂の将来」など語れないし、語ってる人間がいたらただのペテン師だくらいに思っておくのが良い。
おまけ1:ハックルさんの「ゲームの歴史」と塩野七生のローマ人の物語の違いについて
fenethtool 個人的には、これにツッコミを入れる人と塩野七生の小説にツッコミを入れる人は似てる気がする。本来これは物語として読まれるもの。そういう意味で読む方にもリテラシーが問われるけど。
いやあ、生きてる人を物語にしちゃダメでしょ。百歩譲って物語とするのがいいとして歴史を名乗っちゃダメでしょ
ローマ人の物語は、そもそもこれが物語であることを明言していたし、なにより「もう滅びた国の話」をしている。
それとハックルさんの「ゲームの歴史」を同じにしても良いというのは、ちょっと「ナマモノ」に対する認識が甘すぎるんとちゃいますか。
ハックルさんがやったのは「ナマモノを使った二次創作」であって、「物語」として扱うのも少し抵抗がある。
同好の士どうして「これは妄想である」という前提を共有してやるならいいけど、そうじゃないならよろしくはない。
おまけ2:ちきりんさんとハックルさん
この頃はまだハックルさんのブログの存在を知らなかったのだけれど、ハックルさんって本当にちきりんさんとよく似ているんだと思った。
二人に共通する特徴は「極論を断言口調で語ること」だ。
細かい点を無視し、特定のアングルからクッソ雑にある事象を総括する。これをやると「なんか賢そうに見える」のだ。
違う点があるとすればちきりんさんは「書きすぎない」ことだ。彼女はディテールについて語らない。これによって基本的には粗があまり目たないため、その分野に詳しくない人からは「ふわっと良いことを言ってるような感じがする」のだ。この芸風で当時いろんな社会問題について語ることによって人気を得た。
明らかにちきりんさんは「知識があまりないゆるい読者」をターゲットにしていた。自ら言ってるようにおちゃらけた雰囲気をあえてだし、「マジレスする奴は空気よめ」という勝手ルールを作っていた。自分の特性をよく理解していたちきりんさんはさらにtwitterというメディアで最適化を行った。よりフワッとしたことしか言わなくなり、自分に突っ込みを入れそうな人間を先行ブロックしまくることで自分にとって優しい世界を作り上げ「最適化された」存在となった。時期が違えば三浦瑠麗みたいになれていたかもしれない。
私が初めて認識した「インフルエンサー」的存在はこの人だった。私は当初ちきりんさんのことを本当にすごい人だと思っていた。後から知識をつけていくにつれ、「この人本当にしょっちゅう間違ったことを真顔で言ってたんだな」とわかってびっくりした
一方で、ハックルさんはやってることはちきりんさんと同じように適当なことを断言口調で語るというのは一緒だったけど「書きすぎ」てしまう人だった。おそらく、ちきりんさんと比べればハックルさんの方がまじめで誠実だったのだろう。
しかし、適当なことを書くなら書けば書くほど粗が目立つ。ハックルさんはお堅めの口調であることもあって「こいつマジで書いてるっぽい」という印象を与えてしまった結果ツッコミを多数受けるということが続いた。さらにそのツッコミに反論して目立ってしまうことで「この人はしょっちゅういい加減なことを言う人だ」という先入観で見られるようになってしまった。「狼少年」ならぬ「狼おじさん」として認識されるようになってしまった。
ハックルさんはちきりんをめちゃくちゃ敵視していたけれど、そりゃベースとしては同じことやってるのにこれだけ扱いに差があったらキレるのもわかる。
でも、皮肉なことに、歴史に名が残るのはハックルさんの方であろう。ちきりんさんはべらぼうに自己プロデュースが上手く、読者の事などカモとしか思わぬような割り切りの強さが今の時代にはマッチしていたのだろうけれど、「インフルエンサー」という枠でひとくくりにできる人になってしまった。それと比べればハックルさんにかわりはいない。
ハックルさんは唯一無二であり永遠だ。いつの日か、ハックルさんがはてなに終焉をもたらす日をいつまでも待ち続けたい。
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おまけ3 過去に書いた記事
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*1:この記事だけで判断するのは危険だけど、もしかして当時は有象無象のダンゴムシがみんなで取り囲んで雑で汚い言葉を投げかけていじめをやるようなくそダサムーブを推奨するいじめ推奨プラットフォームにはなっていなかったのかもしれない。最近はそのダサいやつが多数派になっちゃってしまった……どうしてこうなってしまったのだろう
*2:15年かけてさすがに横井軍平のことはラーニングしたみたいだったけど、「そもそも横井軍平の事すら知らずに任天堂の歴史について他人に高説をぶってしまうような自分は、歴史という正確さを求められる記述をするのに向いていない。自分が歴史をわかったつもりで語ってもトンデモなことしか言えない。それよりも僕は小説を書くべきだ。」ということを学習することはついぞなかった