脳のシステムの関係で、目に付く単語の拾い読み&脳内補完がデフォ仕様ですからねぇ…「文章を飛ばさずに読む」には訓練がいるんですけど、自然に出来ると思ってる人が大半。あと時代・国によって文章構造の癖があるので、色々読んでると誤読少なくなる気がします https://t.co/zgiPqkZpET
— 週3まぜごはん (@ara40er) 2025年4月29日
そう言えば、いうほど読書についてあんまりちゃんと考えたことなかったなあ。
私は「文章を読むのは好きだけど、ガチで読書が苦手」なので、読書について理解を深めてみたいところ。
まぁとりあえず、このツイートについてちゃんと理解してみよう。
1. 「目に付く単語の拾い読み & 脳内補完がデフォ仕様」について
これは、効率的な読書メカニズムの一部として理解できます。
①眼球運動(サッカードと固視): 私たちが文章を読むとき、目は一文字ずつスムーズに動いているわけではありません。
実際には、短い跳躍(サッカード)と、特定の箇所での短時間の停止(固視)を繰り返しています。
固視する箇所は、内容理解に重要だと脳が判断した単語や句になりがちで、
機能語(助詞など)や予測可能な単語は飛ばされる(スキップされる)こともあります。
これは、限られた時間で多くの情報を処理するための効率化戦略です。
ソース: 眼球運動の研究分野では、Keith Raynerなどがこの分野の第一人者として多くの研究を発表しています。
"Eye movements in reading and information processing"などで検索すると関連研究が見つかります。
②予測読み(Predictive Reading): 脳は、文脈やそれまでの知識(スキーマ)を使って、
次にどのような単語や内容が来るかを常に予測しながら読んでいます。
これにより、処理速度が上がり、流暢な読書が可能になります。
この予測に基づいて、一部の単語を「補完」して読んでいる側面は確かにあります。
ソース: 心理言語学(Psycholinguistics)や認知心理学の分野で研究されています。
"Predictive processing in reading"や "Top-down processing in reading"といったキーワードで関連情報が見つかります。
③スキーマ理論: 私たちは、過去の経験や知識によって形成された知識構造(スキーマ)を活用して、文章を理解します。
文章に明示されていない情報も、スキーマによって補完されることがあります。これが「脳内補完」の一因です。
ソース: 認知心理学の基本的な概念です。F.C. Bartlettの研究などが古典的です。
ただし、「デフォ仕様」という点の注意点:
これは無意識的・自動的なプロセスの一部ですが、読む目的(速読か精読か)、文章の難易度、
個人の読書スキルによって、どの程度拾い読みや補完に頼るかは変わります。
常に飛ばし読みや不正確な補完が行われているわけではなく、
必要に応じてより注意深く読むことも可能です。しかし、意識しなければ、効率重視の読み方に偏りがちではあります。
2. 「文章を飛ばさずに読むには訓練がいる」について
これも事実と言えます。特に、精読(Close Reading)と呼ばれるような、
文章の細部まで注意を払い、深く理解しようとする読み方には、意識的な努力と訓練が必要です。
理由: 上述の通り、私たちの脳は効率を重視する傾向があるため、
意識的に注意を向けないと、細部を見落としたり、無意識の予測やスキーマに頼って誤読したりする可能性があります。
特に、複雑な文章、馴染みのない分野の文章、正確性が求められる文章(契約書、論文、マニュアルなど)を読む際には、注意深い読み方が不可欠です。
根拠: 読解力向上のための教育や研究では、
単語の意味を正確に捉える、文の構造を把握する、
著者の意図を読み取る、批判的に内容を吟味するなど、
「飛ばし読み」とは逆のスキルを重視して指導します。これらは訓練によって向上するスキルです。
3. 「飛ばさずに読む」ための具体的な訓練方法
以下のような方法が考えられます。目的に応じて使い分けると良いでしょう。
① 指差し(またはペン先で追う)読み:
物理的に読む箇所を指やペンで追いながら読むことで、
視線のジャンプを抑制し、一語一句を意識しやすくなります。
特に読み飛ばし癖がある場合に有効です。音読と組み合わせるのも効果的です。
② スラッシュリーディング:
文節や意味の塊(チャンク)ごとにスラッシュ(/)を入れ、
その単位で意味を確認しながら読み進める方法です。
文構造の把握に役立ち、一文全体の意味を正確に捉える助けになります。
③ 要約練習:
段落ごと、あるいは数ページごとに、内容を自分の言葉で要約する習慣をつけます。
飛ばし読みをしていては、正確な要約はできません。内容を正確に把握する訓練になります。
④ 質問作り:
読んでいる内容について、「誰が?」「何を?」「なぜ?」「どのように?」といった質問を自分で作り、
それに答えながら読む方法です。能動的に内容に関わることで、理解が深まり、読み飛ばしを防ぎます。
⑤ 批判的読解(クリティカル・リーディング):
書かれていることを鵜呑みにせず
「著者の主張は何か?」「その根拠は何か?」「他の考え方はないか?」「論理的な矛盾はないか?」など、
問いを持ちながら読む方法です。細部への注意が必要になります。
⑥ 知らない言葉・曖昧な表現の確認:
意味が分からない単語や曖昧な表現を放置せず、
辞書で調べたり、文脈から意味を慎重に推測したりする習慣をつけます。
⑦ 構造を意識する:
文章全体の構成(序論・本論・結論など)や、
段落間の関係(原因と結果、対比、例示など)を示す接続詞や表現に注意しながら読むことで、
論理の流れを正確に追うことができます。
⑧ ゆっくり読むことを意識する:
速く読むことだけが良いことではありません。
時には意識的に速度を落とし、
一文一文の意味や表現を味わうように読む練習も有効です。詩や文学作品などが適しています。
⑨ メタ認知(自分の理解をモニターする):
「今、自分はこの部分を本当に理解できているか?」
と自問自答しながら読む習慣をつけます。
理解が曖昧だと感じたら、立ち止まって読み返すことが重要です。
4. 「時代・国によって文章構造の癖がある」について
これもその通りです。古典、翻訳文学、専門分野の論文、異なる文化圏の文章など、
それぞれに特有の語彙、文法、論理展開、背景知識があります。
多様な文章を読む経験を積むことは、様々な「癖」に対応できる読解力を養い、
文脈から意味を推測する能力を高め、結果的に誤読を減らすことに繋がります。
まとめ
脳が効率化のために単語を拾い読みしたり、文脈で補完したりする傾向があるのは事実です。
そのため、意識せずに読むと、特に複雑な内容や正確性が求められる場面で、飛ばし読みや誤読につながる可能性があります。
「飛ばさずに正確に読む」スキル(精読)は、意識的な訓練によって向上させることができます。
訓練方法としては、指差し、要約、質問作り、批判的読解などが有効です。
多様な文章に触れることも、読解力を高める上で重要です。
ご自身の読書スタイルを振り返り、目的に合わせてこれらの訓練方法を取り入れてみてはいかがでしょうか。
だそうです。