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三沢さんについての話はnoteのメンバーシップの方だけが読める限定ブログの方においておきます。
三沢さんの文章を否定するだけだと誰も幸せにならないので、「ホフステードの6次元モデル」を紹介しておきますね。
もともとはこちらの話題についての話をしようと思ってたんですが、
ちょうどいいので三沢さんの記事に絡めて「ホフステードの6次元モデル」の紹介を行い、
そのうえでネガティブな人の処世術について考えていきましょう。
本来は「文化モデル」を比較するための概念であって個人に当てはめるべき話じゃないのですが
逆に言えばポジティブな人とかネガティブな人、みたいな人間の傾向を語るように「主語がでかい話」をする時には便利なモデルです。
ホフステードの6次元モデルにに基づき、今回の記事ではネガティブ=「不確実性への耐性が低い人」という前提で話をする
①権力格差:社会における不平等の測定
②個人主義 / 集団主義:集団を尊重するか、個人の利益を優先するかの指標
③男性性 / 女性性:人生において何を重要とするかの指標
④不確実性の回避度:ある文化の成員が、曖昧な状況や未知の状況に対して脅威を感じる度合
⑤長期志向 / 短期志向:今すぐ結果を求めるのか、先を見据えて投資をするのか等、見通しのスパンを示す指標
⑥人生の楽しみ方:人生を楽しんだり、喜びを追究することへの許容度の指標
インドは 「権威・調和・柔軟性」 を重視する社会であり、相手の顔を立てつつ臨機応変に対応する力が重要。
日本は 「制度・履行・整合性」 を重視する社会であり、ルールや約束を破ると信頼を失うリスクが高い。
ホフステードの文化次元理論において、日本はこの「不確実性回避指数(=UAI)」が極めて高く、世界でもトップクラスである。
日本人は一般的に、「事実と約束の一致」「納期の遵守」「書面での確認」を強く求める傾向にある。
そのため、約束が果たされないと、「信頼を裏切られた」と感じる。(信義則に頼りすぎて契約書はずさんだったりする)
一方、インドはUAIが40と低く、「場の雰囲気」「関係性の調和」「臨機応変な対応」を重視する文化である。
この違いが、関西万博のインド館建設の遅延など、日印の協働プロジェクトにおける摩擦を生んでいる。
「反応閾値」が周囲と比べて低すぎると支障がおきやすいように、「不確実性への回避度」が高すぎるとネガティブと言われやすい
文化的摩擦の中で、不安耐性の低い人が最も苦しむのは、「相手がなぜそのような行動をとるのか」が理解できないことにある。
不安耐性が非常に高いインド側が「Yes」と答えたとしても、それは必ずしも「確約」ではない。
「たぶんできる」「やってみる」という程度の意味合いで述べている可能性がある。
しかし、日本側の不安耐性が低い人間はそれを「保証された約束」として捉える。
そして、後に実現しないと「嘘をつかれた」と感じる。
この「認知のミスマッチ」が、信頼の喪失や怒りにつながり、強いストレスを生む。
また、プロジェクトの途中でゴールポストが動く(=条件が変わる)ことも
臨機応変を是とするインド文化では自然だが、日本側の人間にとっては「背信行為」として映る。
不安耐性が低ければ低いほど、「予測可能性」に固執し、「予定外」に対する適応が困難になる。
では、不確実耐性が低い、不安耐性が低い人(ネガティブ)はどうすればいいのか
1️⃣ 「文化の違いは悪意ではない」と理解する
まず重要なのは、「ズレ」は文化的構造に基づくものであって、個人の悪意ではないと認識することである。
インド側の「曖昧さ」や「Yesの多義性」は、調和を重んじる文化に根ざしており、嘘をつく意図がない場合も多い。
そこに怒りを感じたとしても、それは「自分の文化コードで相手を裁いている」ことに気づく必要がある。
不安耐性が低い人ほど、「相手が自分と同じ常識を持っている」という前提で行動してしまう。
しかし文化が違う人と協働するにあたっては、その前提自体を疑う知的柔軟性が不可欠である。
2️⃣ 文書化と確認という「安全装置」を使いこなす
不確実性に弱いのであれば、それを補う「外部装置」を積極的に使えばよい。
具体的には、「YesはYesではないかもしれない」と心得ることだ。
つまり、口頭合意だけで安心せず、必ず文書(メールや議事録)で確認し、タイムラインを細かく区切って進捗管理を行う必要がある。
あえて「人の言葉に信を置く」ことをやめ、「仕組み」に信を置く。
自分が不安耐性が低い人と認識しているなら、自らのストレスを下げるために必要な行為だ。
3️⃣ 相手の「フェイス」を守りつつ、自分の信頼軸も守る
何より大切なのは
インドでは「No」と言うことは失礼とされるため、遠回しな表現が多いという事情を尊重することだ。
そこで日本側が一方的に「もっとはっきり言ってくれ」と要求すると、
相手のフェイスを潰してしまう。
一度フェイスを潰してしまうと、その後の協働が難しくなる。
不安耐性の低い人は相手の文脈を理解したり受け入れたりするのが苦手だが
相手の文化的文脈に敬意を払おうという姿勢だけでも見せるべきだ。
「オープンクエスチョン」で理解度をチェックしたり、
雑談を通じて信頼残高を蓄積するなど、「関係性を守りながら確認する技術」を身につけることが重要だ。
4️⃣ 逃げずに付き合う覚悟と、引き際を見極める判断
もちろん、すべての摩擦に耐える必要はない。
「相手を信用できるかどうか」は、時間をかけた観察でしか判断できない場面もある。
インド駐在者は「実際に見て、自分の目で確かめるまで信じない」という態度を取っているらしい。
これも一定の自衛策として有効だ。
その上で、「この相手とは文化的ギャップが大きすぎて、今の自分には対応できない」と感じたなら
無理に関わらないという判断もまた成熟した選択である。
不安耐性が低いことを無理に克服しようとせず、付き合い方や環境を工夫することで、自分を守ることを優先したほうが良いことも多い。
「不安や不確実性への耐性が低い=ネガティブ」は必ずしも悪い意味ではない。武器に変えていきたい
不安耐性が低いということは、劣っているということではない。
それは、他者の行動や環境の変化に敏感であるという、ある種の「繊細なセンサー」を持っている証でもある。
ネガティブな人のリスクを早く、そして具体的に検知しやすいという特性は、上手に活かせば強い武器になる。
その敏感さを活かすためには、
「世界は多様である」という前提を持ち
「信頼は事実ではなく構造でつくる」ことを理解し、自分なりの安全装置を使いこなす必要がある。
文化の違いによる摩擦は避けられないが、それを「悪意」と誤認せず、「構造的な差」として捉える視点を持つ。
そうすれば、不安耐性が低いネガティブな人でも安心して他者と向き合えるようになる。
生成AIの大変革やトランプなどの独裁者の出現・・・今後は不確実性がどんどん高まっていく。
ここ20年近くは不確実性が低い世の中だった。
そのために不確実性に鈍感で、どんどんレバレッジを掛けてスピード勝負する人が有利な世の中だった。
これからは、ネガティブであること=リスクに敏感で、慎重に信用を積み重ねていくスタイルが武器になる時代が来るかもしれない。
ネガティブであることを自らの弱さだとして責めるのではなく
弱点部分を仕組みで補って武器に変えていく──それが、今後の不確実な世界を生き抜く鍵になるかもしれない。