2巻のミッドウェイの敗戦の時点からすでに不利な状況だったと言ってきたがそれでもここまではジリ貧ながら個々の戦闘では善戦している場面もあった。
しかし、この6巻「あ号作戦」での敗北により日本側は完全に詰み。
日本海軍最大の決戦はレイテ沖の戦いだったかもしれないが、実はレイテ沖海戦はやる前から敗北が確定していたことがよくわかります。
そんなわけで、6巻以降はエンタメ要素もなくなり、ただただ読んでいて辛い展開となります。しかもまだこの時点でようやく折返し地点というね……。
こんな状況が2年半も続くとか、頭おかしくなるわ…。
そりゃ日本国民全体がおかしくなっていったのも当然でしょう。狂わないと精神持たないわ。
子供の頃に読んだ「はだしのゲン」は戦争終了直前の様子を子供目線から批判していて、私もその時はただこの時の日本の大人はおかしい!って思ってたけど、その前の積み重ねを理解すべきなんだろうなと。
と、ちょっと先走りすぎたけれど、5巻の続きから。
今回も5回か6回にわけて少しずつ見ていきます。
ろ号作戦、Z作戦などを頑張った甲斐もなく、結局押し切られる形でラバウル方面軍は完全に無力化された
そもそもなぜラバウルがここまで重要だったかというと、司令部があるトラック諸島を守るために必要だったから。
なので、マッカーサーがニューブリテン島に上陸すると
ラバウルを死守するために、勝ち目が薄いのにここでまた航空隊を投入してしまう。
ラバウル航空隊はラバウルを死守するために2ヶ月ほど粘ったがもちろん勝てるわけはなかった。
むしろこの戦いのためにまたしても瑞鶴ら空母のために育成していた航空隊が引き抜かれて消耗していった。
とにかく日本軍ジリ貧でずーーーーっと航空隊を消耗し続けるしかなかった。
大本営発表などの影響もあってラバウル防衛隊は戦後もやたら美化されて語られているらしいが、実際はここでいたずらに消耗すべきではなかったとされている。
最終的に日本軍はラバウル周辺の船と航空機をすべて失い、無力化された状態で放置された。
この諸島に配置されていた11万人以上の兵士はこの取り残され、戦うこともできずに自給自足しながら生き延びることになった。
ラバウルから分断されたニューギニアの兵士たちは、地獄の撤退を強いられ、半数以上が死亡する
病などで動けない兵士をおいて、航空基地や補給基地は後退してしまった。もちろん残された兵士たちを待っている運命は…。
しかし、その撤退先のマダンでも持ちこたえることが不可能となり、さらにウエワク側に移動。
このマダン⇒ウエワクへの撤退の行程が悲惨だった。
動けなくなると自決を命じられ、弱ると仲間に殺されて衣服まですべて奪われる。
疑心暗鬼の中でそれでも軍からはぐれないように逃げ続けるしかなかった。
陸軍は「大陸打通作戦」と「インパール作戦」を進めようとしていた
全部の想定が間違っとるやないか・・・トップエリートがこんなグランドデザインを描いていたらそりゃうまく回らないわ……。
インパール作戦のためにアキャブ作戦が行われた。
第15軍によるインパール作戦の企図を隠匿し、イギリス軍をこの方面に牽制しようとする陽動作戦としての性質を持っていた。
ここで日本軍はイギリス軍の新戦術の前に戦術的な敗北を喫し、ビルマ戦線の攻守転換点ともなったが、インパール作戦の陽動という作戦目的は果たされた
今まで日本海軍のひどさばかりを見てきたが、やっぱり陸軍もダメみたいですね……。
当時の日本陸軍としてのエリート街道を歩んだ花谷は極端にエリート意識が強く
「幼年学校出身者こそ将校の梢幹であり、中学校出身者は幼年学校出身者の補完に過ぎない」と公言しており
中学出身者を『Dコロ』と呼んで差別していた。
そのため、中学出身の部下には厳しく当たり、ことあるごとに「中学出は駄目だ」などと鉄拳も交えて厳しく罵倒したため
部下の中には精神的に病んでしまう者もいたという
結局誰も牟田口を止めることが出来ず、インパール作戦は開始されることになる。