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Channel: 頭の上にミカンをのせる
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「杖と翼」(2/3)   恐怖政治が本格化し、もはや国民公会ですら止められなくなっていく

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おお、自由よ。汝のためにどれほどの犯罪が行われたことか (ロラン夫人)

今回は2巻~3巻まで。ヴァンデ地方での虐殺が本格的に描かれるのは4巻です。3巻までは残虐描写は少ないので安心してください(安心できない)


4章に入ったところで、フランス革命の振り返りをしてくれている。非常に助かる。

そもそもフランス革命直後は「デスゲーム」状態であった。

サン・ジュストが提唱した「君臨か、さもなくば死か」という論理で国王を死刑にしたところからもう立ち止まれなくなっていた。

今の我々の常識や倫理観で考えることはあまり意味がないことはわかっている。


わかりやすくいえば、こういう状態であり、負けた側は滅ぼされるからとにかく相手を貶め引きずり落とすことに必死だった。





ロベスピエールという怪物が恐怖政治を主導したのか、群衆がもともと暴力的だったのかというと結構後者寄りだった気はする

そもそも8月の時点で国民総動員令が発令された時点でもう一線を越えていた。



そして9月に「反革命容疑者法」が制定された。

これで一気に相互監視からのサドンデス状態が始まった。


これだけ独裁的で恐怖に頼った政治になったのは、革命政府が風前の灯だったからだ。



過激な群衆の言う通りにやったらこうなるのは今回の都知事選のR支持者をみてもわかる。
この作品では、サン・ジュストがRPGのラスボスみたいになってるけど。



対外国との戦闘で軍隊が国境沿いにいたため、革命政府は本来治安維持のために備えておくべき暴力を保有出来なかった

そのおかげで、「パリ・コミューン」が政治決定に圧力をかけ放題だった。

幕末の京都も、桜田門外の変の後は会津藩が貧乏くじを引いて治安維持の役割を請け負うことになるまではこの状態になっていた。

「政府が軍事力の裏付けを持って暴徒を鎮圧できない状態」でさえなければ
はたしてあそこまで革命政府は熱狂したフランス民衆の言いなりになっただろうか・・・。



最初は処刑を煽りまくっていたデムーランですらこの時期になると慎重になれと呼びかけていたしダントンも寛容政策を訴えた。


しかし、国民公会は結局民衆の圧力に負けてその良識ある人たちもギロチンにかけることになる。



マリーアントワネットはまぁわかる。

政争の結果としてジロンド派を弾圧したのもまぁ仕方がないかも知れない。

しかしその後デムーランやダントンまでギロチンにかけてしまったらもう「どこで止まるのかがわからない」から国民も不安になる。

まして4巻で描かれる「ヴァンデの虐殺」「リヨンの虐殺」までいくと、さすがに暴走としか言いようがなかった。

無邪気にマリーアントワネットの首チョンパを見せて悪趣味な歌を歌わせるフランス人にはさすがにドン引きである。

少なくともこんな悪趣味なものを大っぴらにしてはしゃいでる国の人たちや、
それを絶賛してる海外マンセーSAYOKU連中からはもう二度と
「子どもの教育に悪影響ガー」とか「ポリコレがー」とかは言われたくない気持ちにはなるよね・・・。


後半にナポレオンが活躍し、テルミドールの反動へ・・・


と、多分その話はこのマンガではあまり重要ではないと思うのでスキップスキップ。



おまけ

主人公のアデルは密告によって捕まってしまう

このあたりの、このマンガの独自要素についてはマンガを実際に読んでもろて・・・。

サン・キュロットたちは徹底的にマリーアントワネットを侮辱し続けた



ただでさえ対外関係が苦しい状況で交渉材料として重要だった
マリーアントワネットを死刑にしたのはある程度勝てる見込みが経ってから、というのがゲンキンだよね。


しかし明治維新の頃は、民衆よりはるかに高い教養をもってるはずの武士でもこんな感じだったし
まして武士階級でない民衆が何を考えてたとか考えると恐ろしくなる。



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