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Channel: 頭の上にミカンをのせる
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すでに紙より電子書籍のほうが売上本数が多いのにジャンププラスはなぜ今でも紙の売上にこだわるのか? ⇒ 今は単行本の売上よりもメディアミックスやグッズ販売の展開ができるかどうかが重要だからという説は面白い

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togetter.com
はてブ民にはとても人気がある「モノクロのふたり」だが、実は紙の本があまりうれなくて結構打ち切りのピンチだったらしい。まじか。


book-link.jp

紙の出版物の売上は年々減少傾向にある一方、電子出版物、特に電子コミックの売上が増加している。
2023年には、紙の出版物の売上が約1兆612億円、電子出版物の売上が約5,351億円となり、電子出版物の市場規模が全体の約33.5%を占めるまでに成長している。

コミックスだけに限ればもはや電子書籍のほうが売上が大きい。しかも圧倒的にだ

電子コミックスの売上は年々増加しており、2023年には紙の売上の約3倍に達しています。全体の市場規模も拡大傾向にあり、特に電子コミックスが市場を牽引していることが明らかだ。

にも関わらず、ジャンププラスではやはり紙が売れないと連載が打ち切りになりそうだという。
電子書籍の売上はそれほど考慮されないというのは結構時代に逆行しているような気がするのだが・・・

実際に「ドランクバレット」のようにネットでは人気だったのに打ち切りになってしまった作品もあるし

ネットで人気があるならせめて「ラブデスター」のように途中から紙の単行本は出さないけど連載は継続する、というような措置があればよいのに・・・。

普通に考えれば「既存のサプライチェーンがある以上、出版社が紙の本を大事にしなければいけないのは当然」ではある

【著者/作家】

│ 原稿・ネーム作成

【出版社】
│ 編集、企画、印税契約、印刷の手配

【印刷所】
│ 印刷・製本

【卸(取次)】
│ 在庫管理・物流調整、書店への流通委託

【書店】
│ 販売、プロモーション、店頭陳列

【読者】

既存の大手出版社が紙の本を大事にするのは当然といえば当然である。

なぜなら、電子書籍がもうかるからといって、既存のサプライチェーンをイーロン・マスクのようにバッサリ切り捨てることは難しいから。

なんせ上で述べたように「コミックス」だけならともかく、まだまだ出版物全体では紙の書籍の売上のほうが大きいのだから取次や書店を完全に切り捨てることは出来ない。


逆に言うとWebコミックブームにのって出てきた新興の出版社は
最初から紙の書籍を出していない多い。特にWebToon界隈はそうだ。

よっぽど大ヒットしない限り紙の本など最初から出すつもりはない。



だからこそ「氷の城壁」がいかにヒットしたかわかるわけですよみんな氷の城壁読め!(氷の城壁を読めおじさん)




紙の本の売上とグッズ展開・メディアミックスの関連性について

これについて紙の本の売上が高い作品ほど、その後のグッズ展開やメディアミックスが成功しやすいというコメントがあった。
「紙の本を購入する熱心なファン層が、関連商品の購買意欲も高いと考えられる」ということだが本当だろうか?

一応そういう論文はあるようだ。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjas/19/1/19_31/_pdf?utm_source=chatgpt.com
「メディア変革期における「メディアミックス」の新展開」という論文では日本のメディアミックスがキャラクター中心のフランチャイズであり、紙媒体での成功が他メディアへの展開に影響を与えると指摘されている。

https://www.bgu.ac.jp/library/wp-content/uploads/sites/11/2024/04/0e8b97305ba94afa8ab989a3800f921a.pdf?utm_source=chatgpt.com
「出版におけるメディアミックスとその課題に関する研究」という論文では、出版社が書籍の販売数を増やすための戦略としてメディアミックスを活用しており、紙の本の売上が他メディア展開の判断材料となることが示唆されている。

なので、紙の本の売上が高い作品は、熱心なファン層の存在を示し、グッズ展開やメディアミックスの成功につながりやすいと考えられます。出版社が紙の本の売上を重視する背景もある程度納得できる。

とはいえ、もはや電子書籍の売上が7割なのに、未だに紙だけを判断根拠に使うのは本当に正しいのだろうかという点は普通に疑問だ。



ちなみに、電子書籍の売上だけが強い作品について出版社側では本を出さないがオンデマンド印刷に対応する仕組みも出始めている

shogakukan-comic.jp
紙媒体の連載が採算面で厳しい作品について、出版社が通常の紙版としては大量印刷せず、必要な部数だけを印刷する方式を採用。
※価格は1冊あたり約3000円程度と設定され、早めに予約することでまとめての注文時に割引が適用される仕組みとなっている。

www.nikkei.com


とにかく好きな作品は読者が紙の本ではなく電子書籍を買うことでも応援し続けられる仕組みが整ってほしい。

人気が出ない作者はともかくとしてそれなりに人気が出る作者がいちいちSNSで「紙の本を買ってください」って読者に訴えかけないといけなくなる事情はなんか変だと思うんだよな。



というかジャンプの編集者さん自身がそのあたりおかしいと思わないんだろうか? 

せめて紙の本を買ってくださいという路線が変わらないなら、それを作者の負担にせずに、編集者さんが「こういう仕組みなのでお願いします」ってちゃんと宣伝するべきではないか。

宣伝をさせるなら、作品の売上とは別にちゃんと宣伝作業について余分にお賃金払うような契約にしないと、作品つくり以外の麺で作者に甘えすぎるのはよろしくないと思う。


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